志摩市アオサ・プロジェクト
豊かな海の幸に恵まれていることから古くから御食つ国(みけつくに)と呼ばれるとともに、美しい自然景観から伊勢志摩国立公園に指定されている志摩市の英虞湾、的矢湾。冬になるとリアス式海岸の特徴である入り組んだ海岸線にそってあおさを養殖する網がびっしりと張込まれ、海岸線は緑色の絨毯を敷き詰めたような彩りで飾られます。
志摩市の海で養殖されている「あおさ(和名:ヒトエグサ)」は年間287トン、生産金額は約12億円(平成19年実績)で、全国生産量の約3割を占めている志摩市を代表する特産品です。
「あおさ」はほとんどが海苔の佃煮の原料として使用されていたため、一般家庭ではあまり知られていない食材でしたが、食物繊維が多く含まれることから健康食品として、最近では味噌汁の具などとして需要が増加しつつあります。
また、あおさは陸上の植物と同じように光合成を行い、海中の二酸化炭素を吸収するとともに酸素を放出します。あおさ1キログラム(乾燥重量)が育つときに吸収される二酸化炭素の量は1.1キログラムといわれており、あおさの養殖を行うことは、地球温暖化の防止にもつながっています。
「あおさプロジェクト」は、志摩市の特産品である「あおさ」の美味しさと素晴らしさを全国の皆さんにもっと知っていただいて、「あおさ」の消費拡大を図るとともに、生産者のみなさんとともに、より高品質な「あおさ」を安定して生産するためにはどうすれば良いのかを検討し、「あおさ」養殖の総合的な振興を図っていくことを目的にしています。
あおさの本当の名前は「一重草」
全国で「あおさ」または「あおのり」と呼ばれる海藻には、ヒトエグサ、アオサ、 スジアオノリ、ウスバアオノリ、ヒラアオノリ、ボウアオノリなど
様々な種類があり、同じ海藻でも地方によっても呼び方が異なります。志摩市で養殖している「あおさ」は正式には「ヒトエグサ」という海藻で、現在全国で養殖され、「あおさ」または「あおのり」として流通しているのはほとんどが「ヒトエグサ」です。
ヒトエグサ( Monostroma nitidum Wittrock ) は「ヒビミドロ目」
に属する海藻で、藻体が一層の細胞からできていることから「一重草」と呼ばれるようになったと言われており、最近富栄養化した内湾の海岸で大量に増えて問題になっている「アオサ」と混同されることもありますが、別の種類です。
志摩市ではヒトエグサのことを「あおさ」または「あおさのり」と呼んでいます。
あおさに含まれる成分について
5訂増補日本食品標準成分表によると、あおさにはカットわかめや干しひじきに比べてビタミン
Aが多く含まれていることがわかります。海を代表する緑黄色野菜と言えますね。
また、あおさを粉末にしてラットに与えると、コレステロールが低下するという試験結果があり、これはあおさに多く含まれる含硫酸グルクロノキシロラムナン(通称:ラムナン硫酸)の作用であると考えられています。
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